【蒼き月の調べ】あとがきのようなもの
あとがき?というよりお詫び 本当に長い間未完結のまま放置して申し訳ありませんでした。もう何年もお待たせした方、初めて読んでいただいた方、最後まで読んでいただきありがとうございました。 さてさて、お気づきの方もいらっしゃる…
蒼き月の調べ『波瀾編』
【蒼き月の調べ】波瀾編 最終話
「これでいいんですか」「ああ」「なんか緊張しますね」「そうだな」空音が震える手で書き終えたのは、婚姻届。結婚式は身内だけで行い、披露宴はどうやら豪華になるらしい、と空音は聞いていた。披露宴に関してはすべて柊弥に任せていたが、結婚式はひとつだ…
蒼き月の調べ『波瀾編』
【蒼き月の調べ】波瀾編 第5章
1学園祭を無事に終え、帰宅した空音のためにささやかなお食事会が開かれた。「空音ちゃん、お疲れ様ー」「ありがとうございます」「いろいろ面白かったよね、今年は」甲斐は満足そうにワインを片手にしている。「空音さんのいた調理科のフレンチレストランも…
蒼き月の調べ『波瀾編』
【蒼き月の調べ】波瀾編 第4章
1蒼天に薄くたなびく白い雲がひろがり、紅や黄色の色どりを見せはじめた紅葉が人々を楽しませる、そんな秋真っ盛りのこの日、月ヶ原学園の学園祭が開幕した。「柊弥、すぐ戻ります」和義は人ごみの中に何かを見つけたのか、柊弥の側を離れた。その行動が気に…
蒼き月の調べ『波瀾編』
【蒼き月の調べ】波瀾編 第3章
1『結婚なんかしなきゃよかった!!あんたなんか産まなきゃよかった!!』ハッと、我に返る。「どうかした?」突然音がやんで驚いた空音の顔を不思議そうに覗き込んでいる甲斐を見て、こちらが現実なのだと少しほっとする。―――今のは、なに。急に鼓動が早…
蒼き月の調べ『波瀾編』
【蒼き月の調べ】波瀾編 第2章
1「春子さん、やっぱり柊弥さんに相談したほうがいいですよね」「はい、そう思いますが」村上静子という人のことを空音はまったく知らない。父のことですらほとんど記憶にないのだから、その親族のことは、たとえ血のつながりがあると言われても他人でしかな…
蒼き月の調べ『波瀾編』
【蒼き月の調べ】波瀾編 第1章
1「柊弥さんが何時ごろお帰りになるかご存知ですか?」空音は車の助手席に座るボディガードのひとりに尋ねた。彼女は無表情のまま、いいえと小さく答えるだけで、空音の望んでいるような会話には発展しない。彼女の名前は市村春子といい、運転中のもうひとり…
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